風営法の内装変更・届出に関するQ&A
キャバクラ・スナック・麻雀店などの風俗営業者から実際に寄せられた質問に、注釈風俗営業法の解説などを根拠に回答します。壁紙の張替えから無承認変更の処分まで、構造・設備の変更(風営法9条)を中心にまとめています。
①内装変えたら届出が必要とのことですが、内装の壁紙を全て張り替えました。この場合届出が必要なのでしょうか?必要な場合、いつまでに届出が必要なのでしょうか?
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第9条
根拠:第9条の趣旨
構造・設備の変更は、営業所の風俗環境・照度・客室内の見通し・騒音振動などに影響することから規制対象とされています。壁紙の配色・インテリアの変更は日常語の「模様替え」に含まれますが、「構造又は設備」の変更に当たらないものは本条の対象になりません。
結論
壁紙の張り替えは、風俗環境・照度・客室内の見通し・騒音振動のいずれにも影響しないため、「構造又は設備」の変更(9条)には該当しません。承認・届出とも不要です。
出典:注釈風俗営業法(辻義之・大塚尚 著)第9条解説
参考:警察庁保安課「風俗営業者向けの質疑応答集」問5では、原状回復の一例として「破れた壁紙を貼り替える」行為が届出不要とされている(都道府県警察公表)
②大規模の内装の変更は事前の承認が必要とのことですが、どこからが大規模というのでしょうか?また、いつまでに承認が必要なのでしょうか?
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第9条
根拠:承認が必要な変更
風俗営業者は、営業所の構造又は設備を変更しようとするとき(軽微な変更を除く)は、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければなりません。法令上「大規模」という文言や数値基準はなく、実務上は次のいずれかに該当する変更が承認の対象とされています。
結論
次のいずれかに該当する場合、変更承認が必要です。
・建築基準法上の大規模の修繕・模様替に該当する変更
・客室の位置・数・床面積の変更
・壁・ふすま等、営業所内部を仕切る設備の変更
・営業の方法の変更に係る構造・設備の変更
承認は着工前(あらかじめ)に受ける必要があり、事後の申請は原則として認められません。
出典:警察庁保安課作成「風俗営業者向けの質疑応答集」問3(都道府県警察公表)
③営業所内のパーティションの位置をずらしました。客室が少し狭くなった気がしますが、これくらいなら何もしなくて大丈夫ですか?
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第9条
根拠:承認が必要な変更
承認が必要な変更として、「客室の位置、数又は床面積の変更」および「壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更」が挙げられています。パーティションはこの「内部を仕切るための設備」そのものにあたります。
結論:「これくらいなら」は通りません
パーティションの位置変更は「仕切るための設備の変更」に該当し、客室が狭くなっていれば「床面積の変更」にも該当し得ます。いずれも事前の変更承認が必要な類型です。
出典:警察庁保安課作成「風俗営業者向けの質疑応答集」問3(都道府県警察公表)
④届出、変更承認をしなかった場合、どうなるのでしょうか?
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第9条
| 違反の類型 | 行政処分 | 罰則 |
|---|---|---|
| 無承認変更 (9条1項違反) |
量定区分A。原則として許可取消し(法26条1項)。技術基準に抵触しない軽微な実質であれば、原状回復まで命じるのは比例原則上過剰となり得る。 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(併科あり、法51条1項1号、57条)。両罰規定あり。事後の承認申請をしても犯罪の成立は妨げられない。 |
| 軽微な変更の届出漏れ (9条3項違反) |
量定区分F。5日以上20日以下の営業停止命令を基本に加重減軽(原則、指示処分前置)。 | 30万円以下の罰金(法56条3号、57条)。両罰規定あり。 |
| 許可証の書換え未了 (9条4項違反) |
量定区分G。指示処分。指示に違反すると営業停止命令もあり得る。 | なし |
| 特例風俗営業者の届出懈怠 (9条5項後段違反) |
量定区分E。5日以上40日以下の営業停止命令を基本に加重減軽(原則、指示処分前置)。 | 50万円以下の罰金(法55条2号、57条)。虚偽記載も同様。両罰規定あり。 |
結論:「無承認変更」と「届出漏れ」は重さが違う
承認なしに構造・設備を変更した場合は、原則として許可取消し+刑事罰という最も重い扱いです。ただし技術基準に抵触しない軽微な実質であれば、原状回復まで求めるのは過剰(比例原則違反)とされ、指示処分にとどまる余地があります。軽微な変更の届出漏れ単体であれば、遅延理由書の提出など事後的な手続対応で収まることも多いです(運用は都道府県警察により差があります)。
特例風俗営業者の特例
法10条の2第1項の認定を受けた特例風俗営業者は、一般の風俗営業者と異なり、構造設備の変更は届出をすれば足り、事前の承認は不要です(優良な営業者を手続上優遇する趣旨)。届出期限は10日以内(規則21条)。ただし4号営業(ぱちんこ屋等)の遊技機の増設・交替等はこの特例の対象外です。
出典:注釈風俗営業法(辻義之・大塚尚 著)第9条解説「17 特例風俗営業者の特例」「18 違反の効果」
罰則の条文番号は令和7年改正後の現行法による
⑤アダルト配信での収益とありますが、私はサイトからはもらってませんが、オーナーからお金を貰う場合も届出が必要なのでしょうか?
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第31条の7
根拠:映像送信型性風俗特殊営業の届出(第31条の7第1項)
映像送信型性風俗特殊営業を営もうとする者は、あらかじめ公安委員会に届け出なければなりません。届出義務を負うのは、事業として運営し責任を負う「営業者」であり、報酬を受け取って出演するだけの立場の者ではありません。
結論:出演者本人に届出義務は生じません
オーナー(営業者)が配信の企画・運営を行い収益を管理する主体であれば、届出義務を負うのはオーナー(営業者)です。ご自身が報酬をもらう出演者の立場にとどまる限り、本人に届出義務は生じません。ただし、集客・配信管理・収益配分の決定権を実質的に持つ場合は、共同で営業を行っていると評価されるリスクがあります。
出典:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第31条の7第1項