まず処分等の求めとは何なのか,行政手続法36条の3に規定されています。
行政手続法第36条の3
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導を求めることができる。
2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 法令に違反する事実の内容
三 当該処分又は行政指導の内容
四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
六 その他参考になる事項
3 当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
そして,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律には規定された業種ごとに法令や条例に違反した場合,処分をすることができる。と定めています。根拠となる規定のことですね。
(指示)
第25条 公安委員会は,風俗営業者又はその代理人等が,当該営業に関し,法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し,又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは,当該風俗営業者に対し,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。
(営業の停止等)
第26条 公安委員会は風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第3条第2項の規定に基づき付された条件に違反したときは,当該風俗営業者に対し,当該風俗営業の許可を取消し,または6カ月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
風俗営業者に対しては → 25条,26条
店舗型性風俗特殊営業を営むもの → 29条,30条
無店舗型性風俗特殊営業を営むもの → 31条の4 31条の5
映像送信型性風俗特殊営業を営むもの → 31条の9 31条の10
店舗型電話異性紹介営業を営むもの → 31条の14 31条の15
無店舗型電話異性紹介営業を営むもの → 31条の20 31条の21
特定遊興飲食店営業者 → 31条の24 31条の25
飲食店営業者 → 34条
興行場営業を営む者 → 35条
特定性風俗物品販売等営業 → 35条の2
接待業務受託営業を営むもの → 35条の4
に規定されています。
では法令や条例に違反した場合とはどのような場合でしょうか。
まずは無許可営業の例。これは風営法に
第3条 風俗営業を営もうとする者は風俗営業の種別に応じて,営業所ごとに,当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。
と規定されています。つまり,風営法第2条第1項の『風俗営業』に当てはまるにもかかわらず,公安委員会の許可を受けずに営業をしてると無許可営業となってしまうわけです。
では,そもそも風俗営業とは何か。これも風営法第2条第1項に1号~5号まで列挙されています。風営法
1号の社交飲食店の定義は『キャバレー,待合,料理店,カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業』とされています。
例えばメンズコンセプトカフェと称して飲食させ,無許可でホストクラブのような接待行為をした場合等です。
では更に深堀して,接待行為とは具体的にどういう行為を指すのか。これは警察庁安全局長が各都道府県に対して出している『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)』に規定されています。接待について
この場合,風営法は罰則規定に基づき刑事処分も法第34条等による行政処分もできることになります。
一般的に法令に違反していると思われる店舗を発見した場合,「警察に被害届や告訴・告発を行い,刑事処分を求めればよいのではないか」とお考えになる方も多くいらっしゃいます。しかし実務上,警察に対して刑事告訴等を行うには,直接的な実害を受けた「被害者」であることなどの高い法的なハードルが存在し,第三者の立場からの申し出では,捜査が迅速に開始されないケースが少なくありません。
そこで当事務所が推奨するのが,行政手続法第36条の3に基づく処分等の求めになります。
この手続きは何人も申し出ることができ,受理されれば,警察には調査義務が生じます。その際の立入りなどで重大な悪質性や組織的な法令違反の事実が確認されれば,事態は次のフェーズに進み,その先は警察の判断になります。
処分等の求めは申出をするものの氏名又は名称及び住所又は居所を記載しなければなりません。
【手続上の厳格なルール】申出書における「実名・住所」の記載義務について
行政手続法第36条の3に基づく「処分等の求め」を執行するにあたり,法律上,避けて通れない規定が存在します。
同条第2項第1号の規定により,警察当局(都道府県警察本部等)へ提出する正式な申出書には,「申出をする者の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)」を記載しなければならないと義務付けられています。匿名での適当なタレコミや通報とは異なり,国が定めた正式な法的書面であるため,誰が申し出ているのかを当局に対して明確にする必要があるからです。
そこで当事務所では,ご相談者様の置かれた状況や許容できるリスクの度合い,ご予算に応じて、以下の「2つの手続き型式」を用意しております。
➀当事務所がお客様の「手続代理人」として提出する型式(実名記載型)
行政書士が法令に準拠した確実な申出書を作成し,正式な代理人として警察当局へ提出する型式です。事前の現地調査コストを省くことができるため,迅速かつ低価格での対応が可能となります。
ただし,上記の法律上の規定により,申出書にはご依頼者様ご本人の「実名(氏名・住所)」が記載されます。 手続き自体は行政書士が代理しますが,書面上の申出人はあくまでお客様自身となります。そのため、将来的に対象店舗側から行政機関に対して開示請求等が行われた場合,氏名・住所が知られる可能性がございます。
② 「何人も申し出ることができる」という法第36条の3第1項を根拠に,当職(行政書士個人)の名義で提出する型式(完全匿名型・推奨)
ご依頼者様の匿名性を保護するための,型式です。
行政手続法第36条の3第1項には,「何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導を求めることができる。」と規定されています。つまり、直接の被害者や関係者でなくとも、一市民としてこの権利を公式に行使することが認められているのです。
当型式では、ご提供いただいた情報を元に事実関係を確認,精査した上、「(当職個人)の実名・住所」を申出人として当局へ提出します。
これにより、公文書上にご依頼者様のお名前やお店の情報が載ることはありません。当職には行政書士法第12条により,「正当な理由がなく,その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。」という守秘義務がありますので,ご安心ください。お客様は、リスクを最小限にした状態で、対象店舗の適法化(正常化)を待つことが可能となります。
※行政手続法に基づく「行政処分(又は行政指導)の求め」は、地域の善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を維持するための、行政上の適法化(正常化)を求める手続きです。
※すでに金銭トラブルや恐喝、暴力行為など、具体的な事件・民事紛争に直面されている方、又は実際に直接の被害に遭われている方におかれましては、本手続きの対象外となります。その場合は、当窓口ではなく、速やかに警察署のしかるべき窓口、又は弁護士へご相談いただくことを強くお勧めいたします。当事務所では、法令に準拠した書類作成、および手続きの範囲内において、お客様の匿名性と健全なビジネス環境の防衛を全力でサポートいたします。